この写真の女性は人間ではなく、人形(ドール)の友美さん。
製造元は、世界一有名なドールメーカーのオリエント工業だ。
実物はもっと「リアル」で、息づかいが聞こえるほど、限りなく人間だと評判のラブドールを製造している。
テレビなどでも取り上げられているが、オリエント工業がつくるドールは、人形の域を超えている。
人間と人形のあいだ
人間を模して、人間としての機能をもたされたモノの中のひとつにダッチワイフがある。
ダッチワイフといえば、2000年以前のイメージでは、風船式の単なる「モノ」で、そこに特別な感情が生まれることはなかった。
しかし、今は、ラブドールと呼ばれる、シリコン製で造形や質感を人間に近づけた、より人間的な製品が生み出されている。
シリコンドールのトップを走る、オリエント工業の製品にはそれぞれに名前がつけられており、購入者にはモノではなくパートナー的なポジションで迎えられているほどだ。
あるドールは恋人として、あるドールは妻として、工場という家から巣立っていく。
2014年誕生の「りり」さん
http://www.orient-doll.com/gallery/#ange
料理はつくれないし、話すこともできない。笑うこともなければ、走ることもない。
それでも彼女はそばに居てくれる。
楽しいときも、悲しいときも、病めるときも、健やかなるときも、ただ、そばに居てくれる。
その光景は、まるで人間のようだが、感情をもたない人形である。
ラブドールは、まさに、人間と人形のあいだに位置している存在といえる。
オリエント工業が目指すもの
「限りなく人間のような人形」を追求しているオリエント工業だが、目指すものは人造人間だろうか。
銀座ヴァニラ画廊で『人造乙女博覧会IV』を開催 したことからも、それは伺えるし、誰もが想像するところだろう。
たしかに、最近は、人型ロボットも、2足歩行したり、AIで簡単なコミュニケーションがとれたりと進化している。
しかし、人間を人間たらしめる感情をもつことはできるのだろうか?
AI(人工知能)が示す愛のカタチ
そんなラブドールが、知能はもたないが、人間の見た目と、温もりをもったパートナーとして、ただ佇むかたわらで、人間のように考えて、人間のように成長する、無機質なAIの開発が、世界を変えるレベルにまで達している。
ディープラーニングと呼ばれる、人間や動物の神経回路を模倣したニューラルネットワークの多層構造を実現した技術が、これまでの不可能を可能にし始めたらしい。
簡単に言うと、動作が遅く昭和のダッチワイフばりに機械丸出しだったAIが、ラブドールよろしくで、限りなく人間に近いAIになってきているということだ。
少し遡ると、Googleが2012年にディープラーニングを用いて、大量の画像の中から猫を判別するAIの研究成果をあげた。
1週間にわたりYouTubeビデオを同ネットワークに見せたところ、ネットワークは猫の写真を識別することを学習した。事前に猫をネットワークに教えたわけでも、「猫」のラベル付けをした画像を与えたわけでもなかった。つまり、ネットワーク自身が、YouTubeの画像から猫がどういうものかを知ったことになる。これは機械学習における「self-taught learning(自己教示学習)」と呼ばれるものだという。
ニュース – Google、大規模人工ニューロンネットワークを用いた研究成果を紹介:ITpro
要約すると、AIが0から自分で学習して猫という存在を覚えて、猫の画像を認識したということとなる。
この自己学習がこれまでのAIではとてもハードルの高いものだったのだが、それを可能にしたとして当時話題になった。
人間が当たり前にしている学習だが、実は脳のネットワークというのはとてつもなく複雑なものであり、再現が難しいのだが、それを実現しつつある。
そして、そうこうしている中、AIを組み込んだラブドールの開発も始まった。
McMullen氏によると、Realbotix の目的はユーザーとドールを物理的にだけでなく感情的につなげること。表情も人間そっくりに動くアニマトロニクス ロボットのメーカー Hanson Robotics 出身のエンジニアを雇い入れ、眼や口を自然に動かす頭部に会話型人工知能を搭載する計画です。
ラブドール用の人工知能開発中、VRゴーグルやスマホアプリも連携。交換用頭部1万ドルから
オリエント工業の感情をもたないドールに人工知能(AI)が埋め込まれたとき、ヒューマノイドとなったAIは愛を生みだすのだろうか?
Googleが示す人工知能の未来とは?
最近Googleは、人工知能に絵を書かせたり、Googleフォトの写真を区別させたり、車を自動運転させたりと、AIへの投資を大きく行っている。
ディープラーニング技術の成長は、もうすぐ人工知能が人間を超える可能性を提示いて、感情をもったターミネーターのような人造人間の製造も夢物語ではなくなっているようだ。
時々、口を開けば「最適化は最後は人間の仕事だ!機械任せにするな!マシン語で考えろ」と言っていた、この僕が、「最適化ではコンパイラに勝てなくなるかもしれない」という可能性を感じ取ってしまったのだ。マシン語で考えるのがなにより好きな、BASIC生まれマシン語育ち、速い言語はだいたい友達、のこの僕が、初めて「機械に勝てない日が来る」と悟ってしまったのだ。
人間が他の動物と唯一違うと自負していた知性に相当する部分、これまで創造性と呼ばれていたものによる創作物をすべて「プログラム」と呼ぶとしたら(まあさすがにこれは強引だが)、全てがやがてはニューラルネットワークによって最適化可能になってしまう可能性がある。
Googleの人工知能からの挑戦状。それでも起業しますか? – shi3zの長文日記
人類が眠りにつく日は近い?
なんでもAIができるようになったなら、人間は何をするようになるのだろう。
AIがすべて最適化できるようになったなら、本当にマトリックスのようにただ眠って、仮想現実の夢を見るだけというのが最適解かもしれない。
個人的には、夢でもし逢えたら素敵なことね的なスタイルでその時を待ちたい。