「教育経済学」的な話。知らざるを知らずと為す是知るなり。

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人生に大きく影響するものはなんだろう。

たとえば「親」「人」「教育」とかだろうか。

子は親を選べないし、子に生まれる選択肢もなく生殺与奪できる「親」の影響は大きい。

「出会い」はそれ系なサイトが乱立するぐらいには、人間に密接に関わってるし、たとえば、出会い系サイトへアクセスしたり、メール読んだり、話題があるのは「教育」のたまもの。

世間では、いろいろ社会への不満があげられたりしているが、世界の歴史と比較すればそんな傲慢なことは言えない。

先人が築き上げたこの平和で豊かな世界にタダ乗りしているのが現実。

さらに、日本では、「親」「人」「教育」のインフラやシステムが画一的に配備されているから、誰もが生きることの一定の保証がされた生活を送れている。

親と子という不可逆性

そんな時代で「親と子」、とりわけ親の子に対する人生への影響の大きさはかなり大きいといえる。

豊かになったからこそ、平和になったからこそ起きている、今の時代の社会の中で起きる教育の問題のウェイトは「親」に多くあるのではないだろうか?

秩序の保たれた社会が形成された反面、その中での生き方を強制されることになっているのも事実なわけで、その社会の中で生きられる人は豊かな生活を享受できるが、そうでなく社会からはみだした人は行き場がなくなる。

この人たちをどう救済するのか、という議論に一般的な答えはでておらず、対策も多くのケースで個人に委ねられがち。

「格差」とか言われたりもするが、あくまで一般的には社会の中の話で、社会に適合しない人はそこにすら属せない苦しみを感じているのも事実。

自己責任だの本人の怠慢だなんだと言われたりするが、本当にそうだろうか?

たとえば、自分の快楽や都合で子どもを産んだものの、責任感が希薄で、教育に対して怠慢に過ごした親がいるとして、その子には合わない義務教育に任せきりにし、子どもが挫折し、社会不適合になった場合、自己責任で片付けられるのだろうか?

子どもは無知で無力であるし、大人になってから教育の間違いに気づき、やり直すために子どもには戻れない。

画一的な教育では、その枠からはみ出す人間は必ずでる以上、そこで修正をかけられる存在が必要だろう。

そして、そのときに一番身近にいて影響を与えられるのは親ではないだろうか。

教育経済学という知

というようなことを、ぼんやり考えていたが、教育経済学という、どうやら教育を経済学的に分析しているらしい本があることを知った。

「データ」に基づき教育を経済学的な手法で分析する教育経済学は、「成功する教育・子育て」についてさまざまな貴重な知見を積み上げてきた。そしてその知見は、「教育評論家」や「子育てに成功した親」が個人の経験から述べる主観的な意見よりも、よっぽど価値がある―むしろ、「知っておかないともったいないこと」ですらあるだろう。
本書は、「ゲームが子どもに与える影響」から「少人数学級の効果」まで、今まで「思い込み」で語られてきた教育の効果を、科学的根拠から解き明かした画期的な一冊である。

「知っておかないともったいないこと」とあるが、たとえば、現代の無根拠に信じられている定説めいた言説を否定するデータがあるようだ。

・ご褒美で釣っても「よい」
・ほめ育てはしては「いけない」
・ゲームをしても「暴力的にはならない」

なんとなくそうだろうなと思っていたような内容もあるが、根拠を知ると子に伝える時に意志が生まれるだろう。

他にも、常識という偏見を捨てて、知るべき情報がある。

子どもに対する関心が高い親は、子どもを勉強するように促すでし
ょうし、同時に子どもに本を買い与えたりもするでしょう。その
「関心の高さ」こそが両方の変化を同時に引き起こしているにもか
かわらず、あたかも、読書と学力の間に相関関係があるかのように
見えてしまう。これが「見せかけの相関」です

ご褒美は、「テストの点数」などのアウトプットではなく、「本を
読む」「宿題をする」などのインプットに対して与えるべき

子どもと同性の親のかかわりの効果は高く、とくに男の子にとって
父親が果たす役割は重要

ざっとみても、単純なところで、昭和時代にありがちだった「テレビゲームはダメ。外で遊ぶのはいい」とかゲームを必要以上に制限したり、塾に通わせているだけで家では無関心とか、いろいろ問題が見つかる。

人として「知る」ということ

親は「お金を出すだけ」「義務教育に任せるだけ」それはあまりに怠慢だし、社会に馴染めない子どもからすれば居場所がなくなる。

少しの「知」と、少しの「努力」で大きく変わる人生がある。

データに裏付けされた正しい「教育」を実行することで、親も子も社会の中で建設的な生き方ができるなら、それを知らないで済ませるにはあまりにもったいない。

もちろん、片親も多いし、共働きとか、経済的に余裕がなく時間もない人がいるのが現実だし、共通の認識のコミュニティでサポートできる仕組みがないと難しいのが現実だ。

なので、まずは身近な人のサポートとか自分にできることをひとつひとつ積み重ねていくのが大事だろう。

小さなことからコツコツと、だ。

ONE FOR ALL , ALL FOR ONE

人の重要性を説く時に「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」が、武田信玄の言葉としてたまに引用されるが、現代の人はどれだけ人の繋がりを意識して日々を過ごしているだろう。

あるいは恋愛であったり、あるいは仕事であったり、あるいは家族であったりと、人との繋がりは普遍的に偏在している。

争いの歴史の中で生まれた、平和の時代で信頼と助け合いが重要になっているといえるからこそ、「知」を共有しあい、建設的に人とつながっていく姿勢が重要なんだと思う。

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